「仕事の画像も、もうAIで作れば済むのでは」。職場でこんな一言が出た場面を想定して考えます。以下の制作例も、筆者が説明のために組み立てたものです。画像を作れることと、仕事で継続して使えることには、どんな違いがあるのでしょうか。

筆者が分けて見たいのは、普及の広さ、制作の進め方、公開できる条件です。生成AIによる画像作成を、この三つの主張から検証します。

「画像生成はすでに広く定着した」説を利用率で検証

総務省の令和8年版情報通信白書では、2025年度の個人向け調査で、何らかの生成AIサービスを使った経験がある割合は58.8%でした。ただし、これを画像生成の利用率として読むことはできません。サービス種類別では、テキスト生成が55.0%、画像・動画生成が16.3%です。

さらに16.3%は、画像と動画をまとめた区分です。「画像生成を仕事で日常的に使う人」の割合でもありません。2025年度から15~19歳が対象に加わり、20歳以上に限った生成AI全体の利用経験率は52.2%となります。前年と比べるときも、対象年齢をそろえる必要があります。

出典:総務省「令和8年版情報通信白書」「サービス種類別の利用経験」(2026年7月24日公表)。

頻度の参考になるのが、NTTドコモ モバイル社会研究所の2026年2月調査です。全国15~69歳の7,223人を対象とするWeb調査で、プライベートの動画・画像・音楽生成を週1回以上使う割合は、ほぼ毎日の利用を含めて10%でした。

こちらは音楽も含み、用途も対象年齢も総務省調査と異なります。二つの数値から定着率を計算するのではなく、利用経験と繰り返し使う頻度を分けて見るのが筆者の判断です。画像生成の定着を考えるなら、仕事で採用した画像の数や、翌月も使ったかという観測も役立ちそうです。

出典:NTTドコモ モバイル社会研究所の調査(2026年4月6日公表)。

「文章を入れれば、どのサービスでも同じ」説を検証

まず仕組みを押さえます。代表的な拡散モデルは、学習時に画像へ段階的にノイズを加え、それを取り除く方法を学びます。生成時にはランダムなノイズから少しずつ画像を組み立て、文章などの条件を反映します。ただし、すべての画像生成AIが同じ方式というわけではありません。

仕組みの出典:IBM「拡散モデルとは」。

仕事で比べたいのは、最初の一枚だけでなく、そこからどう直すかです。主要サービスの公式説明を、制作の流れに沿って整理しました。

サービス 公式に案内されている操作 使い方を考える視点
ChatGPT Images 文章で新規作成、画像のアップロード編集、範囲を選んだ修正 会話で変更を重ねる
Gemini 写真の合成、背景の変更、参照画像の色・質感の反映 手元の画像を基に組み立てる
Adobe Firefly 文章から生成し、AdobeのアプリやExpressと組み合わせて制作・編集 既存の制作工程につなげる

出典:OpenAI公式ヘルプ、Google公式案内、Adobe公式FAQ。

例えば社内提案の表紙なら、「企画書用。机の上に無地のノートと鉢植え。窓から光が入る室内。右側に見出し用の余白。写真風、横長」と入力します。用途、主題、背景、構図、画風、縦横比を分けて書くと、どこを変えたいかも整理できます。生成後は「鉢植えを左へ寄せる」など、修正点を一つずつ追加します。

ChatGPT Imagesでは、範囲を選んでも変更が外側に及ぶ場合があります。修正箇所だけでなく画像全体を見直す工程も含めて比較したいところです。Geminiは不可視のSynthIDと可視表示を案内していますが、これは権利確認とは別の情報です。用途全体から選びたい場合は、生成AIを目的別に選ぶための整理も判断材料になります。

「商用利用できれば、そのまま公開できる」という考えを検証

AdobeはFireflyについて、ライセンス済み素材やパブリックドメインの素材を学習に使い、Creative Cloud加入者の個人コンテンツは学習に使わないと説明しています。また、ベータ表示のない機能の生成物は商用プロジェクトに利用可能としています。ただし、機能ごとの条件と、個々の画像の権利は分けて考える必要があります。

文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」では、既存著作物との類似性と依拠性がともに認められる場合、AI生成物でも著作権侵害となり得ると整理しています。生成する段階と、公開・販売する段階は別の検討です。この整理だけで、特定の画像の適法性が決まるわけではありません。

出典:文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)。

入力にも確認点があります。人物写真や顧客情報を使う場合は、利用目的に必要な範囲かを確認し、利用規約とプライバシーポリシーを開いて、学習等への利用条件を読みます。これは個人情報保護委員会の注意喚起に沿う手順です。出力を点検する前に、入力してよい情報を整理する工程があります。

出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)。

次は、生成枚数より採用と修正の記録を見る

利用経験の広がりだけでは、仕事への定着までは判断できません。筆者なら次の制作で、作った枚数、採用した枚数、修正に使った時間を分けて記録します。サービスの違いも、公開前の確認も含めた負担を比べたいからです。別の検証候補も募りたいと思います。「どの作業なら繰り返し使えるか」など、利用場面が具体的な仮説を今後の観測につなげます。